アコム株式会社 (Acom)
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本エントリは 消費者金融 の下に位置する。ピア / 対照の文脈については 株式会社ジャックス (Jaccs) と、より広範なシステム / 規制の境界については 銀行・政策 と照らして読むこと。
TL;DR
mufg 傘下の大手消費者金融。1936 神戸で「丸糸呉服店」として木下政雄が創業、1978 商号を「アコム」に改称、1996-10 東証一部上場。業態は個人向け無担保ローン主軸(カードローン「ACマスターカード」「むじんくん」自動契約機)+ 信用保証 + 海外(タイ Easy Buy PCL)。アコム(mufg 系列)・プロミス(smfg 内 SMBCCF)・アイフル(aiful 独立系)と並ぶ「3 大消費者金融」の MUFG 系列。2006-2008 のグレーゾーン金利最高裁判決を契機に過払い金請求が殺到、2008-10 MUFG TOB で持分法適用会社化(現 持分法 37.6% + 信託 2.0% = 39.6%)。
1. 会社概要
正式名: アコム株式会社(Acom Co., Ltd.) 証券コード: 東証 STANDARD 8572 創業: 1936(神戸で木下政雄が「丸糸呉服店」として創業) 改称: 1978(消費者金融業へ業態転換・商号を「アコム」に変更) 本社: 東京都千代田区丸の内 上場: 1993 店頭登録 → 1996-10 東証一部上場 → 2022-04 市場区分見直しで東証 STANDARD 親会社: 株式会社三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(mufg)
業態カテゴリ・3 大消費者金融
| 会社 | 系列 | 主要株主 | 上場区分 |
|---|---|---|---|
| アコム | mufg グループ ★ | 三菱 UFJ 持分法 37.6% + 信託 2.0% = 39.6% | 東証 STD 8572 |
| プロミス(SMBC コンシューマーファイナンス) | smfg グループ | SMFG 100% 完全子会社 | 非上場(2012 上場廃止) |
| aiful | 独立系(メガバンク非系列) | 創業家・福田家中心の独立資本 | 東証 PRIME 8515 |
主要グループ会社
アコム(上場 8572、MUFG 持分法 39.6%)
├── アコム本体 ── 個人向け無担保ローン「アコム」ブランド
│ ├── ACマスターカード ── クレジットカード機能付きカードローン
│ └── むじんくん ── 自動契約機(業界象徴的チャネル)
├── Easy Buy PCL(タイ、71% 連結子会社)
│ ── タイ最大級の消費者金融、二輪車ローン「Umay+」主力
├── アイ・アール債権回収(100% 子会社)
│ ── サービサー業(債権回収業)
├── アコム保証(100% 子会社)
│ ── 銀行カードローンの信用保証受託
└── 三菱 UFJ 銀行カードローン「バンクイック」保証 ── MUFG 連携の中核
MUFG との資本関係
2008-10-22 MUFG TOB で約 40% 取得 → 持分法適用会社化。以降、銀行カードローン保証事業(バンクイック)を通じて MUFG リテール戦略の中核に組み込まれている。2025-03-31 時点 持分法 37.6% + 信託 2.0% = 39.6%(MUFG 第 20 期有価証券報告書ベース)
2. 事業セグメント・マップ
| セグメント | 主要事業 | 特徴 |
|---|---|---|
| 個人向け無担保ローン | アコム / ACマスターカード | 主力・カードローン中心、Web 完結・むじんくん自動契約機 |
| 信用保証事業 | 三菱 UFJ 銀行「バンクイック」等の保証受託 | MUFG リテール戦略の中核、地方銀行カードローン保証も多数 |
| 海外(タイ) | Easy Buy PCL「Umay+」(71% 連結子会社) | タイ最大級消費者金融、二輪車ローン軸、業界先行モデル |
| 債権管理回収(サービサー) | アイ・アール債権回収 | 自社債権 + 第三者債権の回収業 |
| クレジットカード | ACマスターカード | 自社発行、カードローン一体型、独立ブランド |
自動契約機「むじんくん」
1993 業界初導入とされ、消費者金融の象徴的チャネルとして全国展開。テレビ CM「むじんくん」は 2000 年代の業界アイコン。過払い金問題以降は Web シフトで縮小傾向だが、即時審査・即時カード発行のチャネルとして一定の役割を維持。
Easy Buy PCL(タイ Easy Buy)★
タイ消費者金融の業界先行モデル。「Umay+」ブランドで二輪車ローンを軸に展開、アコムが 71% 出資する連結子会社。タイ景気・バーツ・規制リスクと連動するが、ASEAN 個人向け小口金融で他社より先行している。MUFG の ASEAN 戦略(mufg Krungsri / Bank Danamon)とも整合。
信用保証事業(MUFG 連携)
アコム保証(100% 子会社)が三菱 UFJ 銀行カードローン「バンクイック」の保証を受託。これによりアコムは個人ローン直営 + 銀行裏方の信用保証の 2 軸で収益を確保し、MUFG 側は銀行カードローンで上限金利 14.6% 程度の低金利商品を提供できる構造。地銀向けカードローン保証も多数受託。
3. 沿革
| 年月 | 事象 |
|---|---|
| 1936 | 木下政雄が神戸で「丸糸呉服店」として創業 ★(呉服小売) |
| 1960s〜 | 月賦販売(割賦販売)から消費者金融へ業態転換 |
| 1978 | 商号を「アコム」に変更 ★(消費者金融業へ全面転換) |
| 1980s | 全国展開、無担保ローン市場の拡大 |
| 1993 | 「むじんくん」自動契約機 業界初導入とされる、店頭登録 |
| 1996-04 | タイ Easy Buy 設立(後の Umay+、ASEAN 先行モデル) |
| 1996-10 | 東京証券取引所一部上場 ★ |
| 2003 | プロミス・アコム・武富士・アイフル「サラ金 4 強」時代のピーク |
| 2006-01-13 | 最高裁判決「グレーゾーン金利」事実上違法化 ★ → 過払い金請求殺到 |
| 2006-12 | 改正貸金業法成立(上限金利 29.2% → 20% 引下げ・総量規制導入、施行 2010-06) |
| 2007〜 | 過払い金返還損失で業界全体が経営苦境化 |
| 2008-10-22 | MUFG が TOB でアコム株式約 40% 取得 → 持分法適用会社化 ★ |
| 2010-06 | 改正貸金業法 完全施行(上限金利 20%・総量規制年収 1/3) |
| 2010-2015 | 過払い金返還継続、業界全体で武富士は会社更生、アコムは MUFG 体制下で継続 |
| 2014〜 | 営業再開・収益回復フェーズ、銀行カードローン保証事業の比重拡大 |
| 2017-2019 | 業績回復・黒字化定着、MUFG リテール連携深化 |
| 2022-04 | 東証市場区分見直し → 東証 STANDARD 8572 |
| 2025-03 期 | MUFG 持分法 37.6% + 信託 2.0% = 39.6% 維持(MUFG 有価証券報告書ベース) |
過払い金問題と MUFG TOB(2006-2008)★
- 最高裁判決(2006-01-13): 貸金業法の「みなし弁済」規定をほぼ否定 → 利息制限法(上限 15-20%)超過分は不当利得として返還義務
- 2006 改正貸金業法: 上限金利を 29.2% → 20% に引下げ、総量規制(年収 1/3)導入
- 過払い金返還: 業界全体で数兆円規模、アコムも巨額引当で経営圧迫
- 2008-10-22 MUFG TOB: 三菱 UFJ 銀行(当時 三菱東京 UFJ 銀行)が約 40% 取得、持分法適用会社化で資本注入と銀行系列再編が実現
MUFG 系列としての位置付け ★
- 銀行カードローン保証: バンクイック保証で MUFG リテール戦略の中核
- 資金調達: MUFG グループ内資金調達で独立系(aiful)より低コスト
- 顧客送客: 三菱 UFJ 銀行 ATM・店舗との連携で集客効率
- 海外: Easy Buy(タイ)が MUFG ASEAN 戦略(mufg Krungsri)と補完関係
競合構造
| 競合 | 系列 | アコムとの差 |
|---|---|---|
| プロミス(SMBCCF) | smfg 100% 完全子会社 | 親会社銀行との一体運営・SMFG 100% 子会社で送客効率高、上場廃止 |
| aiful | 独立系 | 創業家中心・京都発祥、メガバンク系列外、自社与信データ依存 |
| 楽天カード・PayPay カード | rakuten-fg / paypay-fg | EC・決済プラットフォームと一体、若年層で先行 |
| 銀行カードローン(直営) | 全メガバンク・地銀 | アコム保証経由で「敵ではなくインフラ提供先」関係も多数 |
| orico / クレディセゾン (Credit Saison) / jaccs | 信販系 | 個品割賦軸が異なる、消費者金融とは隣接 |
中期戦略(公開された方向性)
- MUFG リテール深化: バンクイック保証 + 個人向け無担保ローンの両輪
- AI 与信スコアリング: Web 完結・即時審査の精度向上
- 海外(タイ Easy Buy)拡充: ASEAN 個人向け小口金融の先行地位活用
- ACマスターカード: カードローン + クレカ一体型で利用シーン拡大
- 債権回収(アイ・アール債権回収): 自社債権 + 外部債権の回収業を収益軸として育成
B2C ブランディング
- 「むじんくん」CM で 1990-2000 年代の業界アイコン化、即時審査・即時カード発行を象徴
- 「アコム」ブランド = 消費者金融、「ACマスターカード」「Umay+」(タイ)で別ブランド層
- 緑色(コーポレートカラー)を中心とした視認性の高いブランディング
5. 規制・政策
- 主管: 金融庁(FSA)
- 登録: 貸金業法に基づく登録貸金業者
- 業界団体: 日本貸金業協会(JFSA)加盟
- 主要規制:
- 貸金業法: 上限金利 20%(10 万円以下は 20%、10〜100 万円は 18%、100 万円超は 15%)
- 総量規制: 個人の借入総額は年収の 3 分の 1 まで(2010-06 完全施行)
- 割賦販売法: ACマスターカード分について包括信用購入あっせん業者
- 個人情報保護法: 与信情報の取扱
- 海外規制: タイ Bank of Thailand(BoT)規制 — Easy Buy PCL 関連
- 直近政策論点:
- 2024〜 AI 与信の説明責任・差別禁止
- 過払い金請求は減少基調だが完全消滅していない
- 銀行カードローンの「実質総量規制超過」問題(業界自主規制)
関連
- mufg — 親会社(持分法 37.6% + 信託 2.0% = 39.6%)
- smfg — 3 大消費者金融の競合(プロミス=SMBCCF 100% 子会社)
- aiful — 3 大消費者金融の競合(独立系・東証 PRIME 8515)
- jaccs — 信販大手・隣接業態
- orico — 信販大手・隣接業態
- クレディセゾン (Credit Saison) — 信販大手・隣接業態
- rakuten-fg — 楽天カードによる若年層侵食
- paypay-fg — PayPay カードによる決済プラットフォーム侵食
- SBI新生銀行 — レイク ALSA(旧 GE 系・現 SBI 新生銀行内)の競合
出典
- Wikipedia: アコム株式会社(https://ja.wikipedia.org/wiki/アコム, 2026-05-19 参照、公開情報のみ)
- Acom 公式 IR(東証 STANDARD 8572 開示資料、公開分・有価証券報告書)
- MUFG 第 20 期(2025-03 期)有価証券報告書(公開分、持分法 37.6% + 信託 2.0% = 39.6% の根拠)
- Wikipedia: グレーゾーン金利 / 改正貸金業法 / 最高裁 2006-01-13 判決(公開法令・判例)
- Wikipedia: Easy Buy PCL / Umay+(タイ拠点関連、公開情報)
[!info] 検証状況 confidence: likely(公開情報のみで構成、2026-05-19)。創業年(1936 神戸・丸糸呉服店)・改称年(1978)・上場年(1996-10 東証一部)・MUFG TOB(2008-10-22)・持分法比率(39.6%)・Easy Buy(タイ 71%)は Wikipedia + MUFG 公開有報 + 公開判例で確認可能な範囲。FY2024 個別数値は公開分のみ、内部資料・非公開情報は一切含まず。