FIRE 数学逆算フレームワーク
#fire#personal-finance#retirement#safe-withdrawal-rate
ウィキ上の位置づけ
この項目は金融・M&Aの配下に位置づけられる。ピア / 対照の文脈では日本のIBリーグテーブルと、より広いシステム / 規制上の境界では証券と併読する。
中核命題
目標元本 = 退職後の年間支出 ÷ 安全引き出し率(SWR)
この逆算関係はFIRE(Financial Independence, Retire Early)コミュニティの基礎公式であり、1998年のTrinity Studyに由来する。
標準パラメータ
| パラメータ | 標準値 | 説明 |
|---|---|---|
| SWR(Safe Withdrawal Rate) | 4% | Trinity Studyの原始結論(30年退職期間、株債60/40、インフレ調整) |
| 必要元本倍数 | 25× 年間支出 | 4%の逆数(1 / 0.04 = 25) |
| アグレッシブ版SWR | 3-3.3% | 早期退職(40年以上)またはより保守的な仮定(30× - 33× 倍数に対応) |
| 保守版SWR | 5% | セミリタイア(継続的にキャッシュフローを生む)または市場楽観時(20× 倍数に対応) |
4ステップの逆算フロー
- 終局の月次支出を決定(将来インフレ後の消費水準)
- × 12 → 年間支出
- ÷ SWR → 目標元本
- 現在の純資産 + 月次投入額 + 時間窓 + 期待年率から、到達可否を逆算
数学検証式
元本成長 ≈ 現在元本 × (1 + r)^n + 月次投入 × 12 × [((1+r)^n - 1) / r]
ここで r = 年率収益率、n = 年数。
ギャップ分析
逆算結果は通常3種類のギャップを明らかにする:
| ギャップ種別 | 症状 | 対応 |
|---|---|---|
| 時間不足 | 退職年齢を変更せず · 経路上の元本が不足 | FIREを後ろ倒し · 月次投入を増やす · 他のキャッシュフローを導入 |
| 月次投入不足 | 収入 - 支出のスペースが小さい | 開源(副業 / 昇給)· 節流 · 終局消費を引き下げ |
| 仮定が楽観過ぎる | 年率10%+ · 25年以上の窓 | 7-8%へ引き下げ · 安全マージンを拡大 · 「ブラックスワン緩衝」を確保 |
「単純な貯金」モデルとの本質的違い
- 貯金モデル:起点(現在の収支)から出発し、終点が不明
- FIRE逆算:終点(目標元本)から出発し、現在何をすべきか逆算
→ 心理的なアンカーが異なる → 意思決定の優先順位が異なる
逆算視点では「今、月次投入を10万円増やす」痛みが、「10万円少ないと11年後に¥X億の不足」という具体的な数字に薄められる。
安全マージン意識
シリアスなFIRE逆算は「ちょうど¥X億に到達」までの計算で止めず、安全マージンを残す:
- 軽量:目標 × 1.05(5%バッファ)
- 標準:目標 × 1.2(20%バッファ)
- 保守:目標 × 1.5(50%バッファ)
安全マージンは3重の不確実性をヘッジする:年率仮定の未達 / インフレが想定超 / 想定外の支出(医療 / 家族)。
適用境界
- 安定した長期投資習慣 + 予測可能な将来収入を持つ個人に適する
- 短期キャッシュフローが逼迫 / 収入変動が極めて大きい状態(フリーランス / 起業期)には不適
- 「退職後も事業収入がある」セミFIREモデルでは、月次支出のうち「必ず元本でカバーすべき」部分のみに4%ルールを適用 · 残余は事業キャッシュフローでカバー可能
他の金融計画フレームワークとの関係
- 目標元本:FIREが答える「いくら必要か」という問い(クロスボーダー身分組合せの税務レバレッジ と連動させると、実効目標元本を引き下げることが可能)
- 時間価値:資金の時間価値は逆算のツール
- SWR:Trinity Studyの実証基盤(金融・M&A の主軸と 証券 の資産配分フレームワークで再利用)
参考
- Trinity Study(Cooley, Hubbard, Walz 1998)
- [Wiki: Trinity study]
- FIREコミュニティの方法論(Mr. Money Mustache 等)
関連項目
- Wiki Index
- クロスボーダー身分組合せの税務レバレッジ